【往還集145】26 春日石疼『天球儀』(朔出版)

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1冊の句集をまえにして、その世界の多彩さ、重厚さに目を見張りました。
「小熊座」の俳人、春日石疼(かすがせきとう)。1954年生まれで、福島市在住。65歳定年を機にまとめた350句、つまり第1句集です。

「露草や犬を流れる犬時間」
「蟬の穴より晩年の空仰ぐ」
「いつか皆死ぬる安らぎ水中花」
「陸を捨て陸を信じて鶴帰る」
「人黙し地哭び春の雪激し」
「原発爆発映像医院待合冴返る」
「廃炉まで蛍いくたび死にかはる」
「一宇宙一生命体虫の闇」

詳しい略歴はわかりませんが、福島で医業に従事してきた人のよう。生死へのまなざしの深さはそこからきている。
人間の生死を超えて生命体へ、そして全宇宙へと広がる。
しかも身近にした原発事故。「陸を捨て陸を信じて鶴帰る」震災を直接語っているわけではない。けれど捨てようとして捨てきれない鶴の姿にこちらにも重なってくる。多彩かつ重厚な句集が出現しました。
(3月30日)

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このページは、管理者が2019年3月30日 10:18に書いたブログ記事です。

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