【往還集140】40 野の花

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前沢(現奥州市)は南から北へと細長い町並。そのの背後は低い山つづきで、登りきると一面に台地が広がっていました。戦後になって引き揚げ者が続出し、幾棟もの長屋が台地の一角に造成されました。転入してくる同級生もいます。多くが極度の貧困、弁当を持参することもできません。おひる時間には教科書で顔を隠しているか、校庭で遊んでいるかでした。ある日体育から教室に戻ってきた一人が「あれ、弁当がからだ」と叫びました。以来、たびたび弁当事件は起きましたが、とうとう犯人が見つかります。同じクラスのSさん。前々からさまざまな物がなくなるので、噂は立っていましたが、弁当は現行犯。当時私たちは登校時間の早さを競いあっていました。その日は自分が一番、と思ったらすでにSさんが。Sさんは野の花を廊下の竹筒に活けてまわっていました。いつも季節の花の飾られているわけがわかりました。
(1月3日)

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このページは、管理者が2018年1月 3日 18:44に書いたブログ記事です。

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