【往還集140】24 「霧湧き降るを」

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文学研究の精緻さについていうなら賢治が第1ではないか。
時々「自分の考えは新説ではないか、確かめてくれ」と頼まれることがあります。
残念ながら研究終了済み、勢いこんだ人をがっかりさせてきました。
ただし短歌と文語詩分野はまだ謎が多い。目下「NHK短歌」で私が監修しつつ若手歌人に賢治短歌を鑑賞してもらっています。今回

野うまみな
はるかに首あげわれを見る
みねの雪より霧湧き降るを

をとりあげました。
季節は春、場所は岩手山麓。残雪が春の気温にとけて霧を降らせたという景。
はたと、疑問を覚えました、気象上こんなことがあるだろうかと。
そこで盛岡在住の研究者、賢治記念館、盛岡の気象台、小岩井農場資料館などなどへ問い合わせました。
その結果霧も靄も残雪から降ることはない、これは賢治の空想ではないかというのが最有力の説。
賢治研究にも完璧のないことを痛感しました。
(11月11日)

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このページは、管理者が2017年11月11日 11:40に書いたブログ記事です。

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