【往還集128】6 ススキ

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ススキの季節になると、思い出すシーンがある。
当時の住居は前沢。母の実家の、離れに住んでいた。自分は学齢以前の幼児だった。
前沢の町並の西方は、広大な台地だ。上野原(うわのはら)という。台地の一角にはまだ畑があった。「まだ」というのは、戦前はかなりの面積を所有していたが、農地解放でほとんどが取り上げられたからだ。
ある日、その畑に豆の収穫に行った。総勢6、7人はいた。
お昼になり、ゴザを敷く。重箱からおにぎりを出す。自分も小さな手に1個受け取る。そのとき、賢治流にいえば、どーっと風が吹いて、ススキの綿毛が飛んできた。なぜか自分のおにぎりだけに、へたへたとくっ付いてしまう。
これは大変と、自分は大泣きしてしまった。母が「おお、よしよし」と慰め、綿毛のひとつひとつを取ってくれた。
この思い出はこれだけ。劇的なストーリィはない。
けれどススキの季節になると、なつかしく再現される。
(9月21日)

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このページは、管理者が2013年9月21日 16:02に書いたブログ記事です。

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